竹村幸さん

「生理について話そう」の落とし穴

――ツールの進化だけでなく、「生理についてオープンに話す」という社会的な意識の変化も感じますか。

 アメリカ合宿中、女子選手が更衣室でナプキンを替えていて、「ここまでオープンなのか」と驚きましたが(笑)、日本でも男性コーチから生理の時の練習メニューについて相談されるようになったり、「もっと生理について話そう」と促す啓発記事が増えたり、意識の変化は実感します。ただ、思春期の子たちをはじめ、話したくない人に話すよう無理強いするのは、ちがうと思います。

 最近、男性コーチが高校生の女子選手に「生理はどうなの?」と聞いている場面に遭遇したのですが、その時の気まずそうな選手の表情が印象に残っています。コーチとしては選手の体調管理のためにと思っているかもしれないけど、信頼関係を構築する前にいきなりそんな話をしたら、逆に距離ができてしまうと思います。

 私は選手に対して積極的に生理の話をすることはないです。ただ、たとえば体重が増えて悩んでいる子がいたら、「ホルモンバランスの影響も考えられるけど、生理のトラブルはない?」などとボールを投げて、頼ってくれればいつでもアドバイスできることは伝えるようにしています。

「生理の問題は隠さなくていい」という認識がだいぶ広がってきた今、次は、一人ひとり異なる「生理との心地よい向き合い方」をどう尊重するかについて考えるフェーズに入ってきたのかなと思っています。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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