パリ五輪ストリート女子の予選で演技する吉沢恋選手

スケボーをやめようとした過去

 地元で練習ができる環境に感謝していたという。だが、山﨑校長によると、吉沢選手はスケボーの道を諦めようとしたこともあったようだ。

「本人から聞いた話だと、中学に入る前、本当は彼女はスケートボードをおしまいにするつもりで、(中学では)テニス部に入ろうと思っていたらしいです。ただ、ちょうどその時、東京五輪で初めて種目として採用されたスケートボードで金メダルを獲った子が注目を浴びて、技をテレビで見たら、『あれっ、これ私できる』と思ったとか。それでパリ五輪を目指すきっかけになったらしいです。だから中学1年になってから、少しずつ大会に出場するようになり、本格的にオリンピック出場という話が出てきたのは、今年に入ってからなんです」

 小山中学の正門にはPTAがつくった「祝 スケートボード 吉沢恋」という横断幕が飾られていた。大々的なセレモニーをしたのかと思いきや、「実は学校で大々的に壮行会はやってないんです」と山﨑校長は言う。なんでも、吉沢選手は派手なことを好まないことを皆知っており、プレッシャーをかけてはいけないという配慮があったからだという。ただ、パリ出発の前日、クラスでささやかな壮行会は開いた。その時の様子を山﨑校長はこう振り返る。

「ココちゃんは意外とシャイなんです。壮行会でも、あまり前面に出たくないみたいで、教室に入ってくるときも、照れくさそうにしながら、『ヨッ』って言いながら入ってきたみたいです。みんなと一緒にお昼を食べたり、円陣組んだりした後、じゃあ、『行ってきまーす』と教室を出たそうです」

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