「私もスペイン語の勉強を続けていますよ」と廣津留さん。(撮影/吉松伸太郎)

Q. もうすぐAIが同時通訳してくれる世界になるのだから、外国語の習得なんて必要ないという考えもあります。ですが個人的には外国語を学ぶことは、ただ言語を学ぶだけではないと思っています。廣津留さんはどう思いますか? 

A.  そうですね……。例えば仕事の短期プロジェクトで、自分がまったく知らない国や地域の言語を急に使う必要があるとなったら、AIなり人なりの通訳を介してやりとりすればいいと思います。だけど、他国や他地域の文化に興味を持ち、そこに関わる人とのつながりをずっと大事にしたいのなら、やっぱり相手の言語を知って習得することは必要だと思うんですよね。

 私はライフワークとしてアルゼンチンタンゴの演奏に取り組んでいまして、タンゴの本場であるアルゼンチンで話されているスペイン語の勉強も続けています。スペイン語がまったく分からないとなると、単純にリハーサルなどでの時間効率が下がるからというのが一つと、タンゴの土壌に対するリスペクトがないように見えてしまうからです。それに演奏仲間たちがジョークで笑い合っているときに、なぜ笑っているのかを少しだけでも理解したいじゃないですか。

 言語を学ぶことって、その国や地域の文化を知る努力をしているということですよね。努力することが、相手へのリスペクトだと思うんです。日本語を頑張って勉強してしゃべっている海外の人を見ると、私たちもなんだか嬉しいじゃないですか。世界共通語としての英語が必須というのは大前提として、さらにもう一言語できるといいなと思います。自分が興味のある国や地域の文化に触れたり、そこでビジネスをしたりというときは、現地の言語を多少なりとも学んで自分自身でコミュニケーションできるようになったほうが信頼を得られると思いますね。

構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS

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