著者のインタビューに応じるジョン・マッケンティー氏

大統領は「多くのことを成し遂げる」

――トランプが大統領になると権威主義に傾くという人も多い。

マッケンティー氏:合衆国憲法は、我々の政府を「三つの部門」に分けています。立法権を持つ「立法府」、行政権を持つ「行政府」、司法制度を持つ「司法府」として、三権分立を採用しています。

 このうち行政府については、合衆国憲法の第2章第1条第1項に「国の行政権は大統領に与えられるものとする(“The executive Power shall be vested in a President of the United States of America.”)と書かれています。これは、国民は権限を大統領にあずけ、大統領はその権限を誠実に遂行しなければならないということです。つまり、行政のすべての権限は大統領に帰属しています。

 大統領の周囲に適切な人材を配置すれば、大統領はもっと多くのことを成し遂げることができるでしょう。それは必ずしも権威主義を意味しません。憲法上に与えられた権限を最大限に生かすということです。最近、最高裁で免責特権が大統領に与えられる判断が出されましたが、それも同じ理由です。免責特権は、大統領がやるべき仕事に集中するためのものです。

民主党政権と過去への復讐

――トランプは大統領に返り咲いたら、報復すると言っているが、どういう意味か。

マッケンティー氏:二つ意味があると思います。一つはトランプを倒そうとしている政権に対する復讐です。民主党政権は、トランプに戻ってきてほしくないと思っています。

 もう一つは、7年前からやろうとしてできなかったことを完結するという意味だと思います。バイデンが政権を取ったことで、トランプがやろうとしていたいろいろなことが完結できませんでした。

民主主義にとって大きな試練

――マッケンティー氏は、この大統領選挙でトランプの大統領復帰を願っている。1期目は政権移行の準備が全くできていなかったので、政府内は混乱していた。今度こそ、という思いがあるようだ。

トランプ政権下で2018年4月から2019年9月まで国家安全保障担当大統領補佐官を務め、アメリカの外交・安全保障政策を担ったジョン・ボルトン氏は、こう語る。

「トランプは独裁者になれるほど利口ではありません。アメリカの憲法も制度も強靱です。とはいえ、トランプが再選されたら、大きな試練の4年間になるでしょう」

 ボルトン氏が最も懸念することの一つは、トランプは司法省にプレッシャーをかけ、政敵を訴追するように仕向けるかもしれないことだ。司法制度そのものが危機にさらされ独裁主義に傾くので、民主主義にとって大きな試練になる、というのだ。

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