今の時代にフィットした生き方や働き方の先にある女性リーダー像って? そんなテーマを掲げて編集長の鎌田倫子が女性リーダーにインタビューする連載。3人目は、多言語AIチャットボットの開発・運用を手掛けるベンチャー企業の「ビースポーク」社長の綱川明美さんにご登場いただいた。
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チャットボットは人間と話しているようにAI(人工知能)とやりとりができる自動会話プログラム。同社のチャットボット「BEBOT」は多言語で観光や災害にも対応でき、成田空港やホテル、行政の育児相談などにも導入されている。順調に事業を大きくしてきたのかと思いきや、「日々、壁にぶちあたってます」と綱川さん。困難に直面しても、課題を因数分解し、細かく分析し、問題をいかに高速で解決させるかを考えるという。その思考法と行動力はいかにして培われたのか、前編では起業までの道のりを中心にうかがった。
――日本の高校を卒業後、米国渡って3カ月で語学を習得 し、翌年にカリフォルニア州立カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に入学。3年で卒業されたそうですね。そもそも、なぜ留学を?
綱川明美(以下、綱川):母親がすごく怖かったんです(笑) 簡単には会えないような遠いところにいきたいという気持ちでした。両親が国内外でビジネスをしていたり、親類の半分がカナダに住んでいたりと、海外に対して抵抗がなかったことも影響しています。
――ただ日本から留学する場合、国内で語学をある程度習得し、入学のめどがついてから海外に渡るケースが大多数だと思います。綱川さんは、すぐに米国に渡り、現地で準備をしたんですよね。
綱川:走りながら考えるタイプなので。国内で留学の準備をしていて、もしなかなか準備が整わなかったら留学そのものをやめてしまうかもしれない。だったら、現地で考えればいいと持ったのです。
UCLAには入れると思ったのです。もちろん、計算していました。多様性を重視する米国の大学では、当時は人種ごとにある程度枠があるというのを聞いていました 。アジアの枠となると、入学希望者は中国がほとんどで、次いで韓国。日本からはそんなにいないだろうと思いました。さらに、性別の偏りもないようにするはずです。
となると、自分と似たような属性の応募者自体がそんなに多くはない。だから合格する確率は高いだろうと踏んだのです。