階段に並ぶ2冊(撮影/佐藤創紀)

文章が苦手だった自分が、初めて書いたエッセイで大バズり

──おふたりは何をきっかけに書き始めましたか。

せやま:私は、友人の結婚式でスピーチを頼まれたんです。こんなこと一生で一度だろうと思ったので、小学生で出会った時からのことを物語風に綴って、スピーチしたんですね。そうしたら、友人の親御さんに「せやまさん、小説家になってな」と言われたんですけど、「そういえば私、中学生の時に、小説家になりたいってその友人に言っていたな」と思い出して。

 しばらく寝かせていたんですが、書きたい気持ちが深まってきたタイミングでnoteを始めました。最初から小説は難しそうだったので、日記やエッセイから始めました。

潮井:そのご友人の親御さんに、「小説家になりました」というご報告は?

せやま:しました! 友人経由で。「なると思ってたわ」と言われました。

潮井:わあ! 私がその親御さんのポジションだったら、めっちゃ古参ぶると思います。「知ってた、昔から目をつけてた」みたいな。

せやま:ははははは。

潮井:ご友人ももちろんですけど、ご友人のご両親もうれしかっただろうなと思っちゃいました。

せやま:はい、本当にそんな感じで。喜んでくれました! 潮井さんが書き始めたきっかけはいかがですか?

潮井:私は、本当に文章を書くのが苦手で。書き始めた時は、いろんなできごとが重なったんです。転職をして仕事を探している時期でもあったし、読書なんてしなかった私がめずらしく本に触れた期間でもありました。

 いろんなタイミングが重なって、やっぱり文章が書けないと困るなという、当たり前の壁にぶつかったんです。履歴書の自己PR欄を埋めるのにも何時間もかかってしまって、「せめて、自分の思っていることを自分の言葉で伝える技術を身につけたい」と思って。

 じゃあちょっと書いてみるかということで、印象に残っていた思い出話を書いてSNSに上げたら、それが一晩で十何万件とリポストされるくらいバズって、今に至ります。

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