でも、エッセイは、それこそ自分のなかにしか答えはないけど、小説だと、この人物だったらこう考えるだろうみたいなことで、たどりつけるところもあるかな。

潮井:最終的に「これ!」と決める時の決め手は?

せやま:感覚です。バチッとくるかどうか。

潮井:自分のなかでバチッと決まったところは、編集の方はどういう反応をなさってましたか。

せやま:そういうところは絶対にオーケーをもらえましたね。逆に、もやっとしたまま「これでいいか」みたいな感じで出すと、絶対に「ここはちょっと」と言われます。なんでバレたんだろう、みたいな(笑)。

*  *  *

「感じたことや考えたことは、誰にも奪えない」という潮井さんの言葉を受けて、「自分にしか書けないものがきっと一つはある」と語ったせやまさん。

 書き始めたきっかけも、悩みもそれぞれだけれど、「自分にしか書けないもの」を探し続けたふたりが、お互いを尊重しあい、共鳴するかのような対談は、初対面を感じさせないあたたかな雰囲気があった。

 書くということと真剣に向き合ってきたふたりの作品もまた、優しいあたたかさであふれている。

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せやま南天

せやま南天

せやま南天(せやま・なんてん)/1986年京都府生まれ。noteをベースに執筆を始め、「家事」をテーマに執筆した小説『クリームイエローの海と春キャベツのある家』で、創作大賞2023(note主催)朝日新聞出版賞を受賞。2024年4月に刊行された。

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潮井エムコ

潮井エムコ

潮井エムコ(しおい・えむこ)/1993年4月1日生まれ。高校時代の思い出を綴ったエッセイをnoteにアップしたところ、SNSでも拡散され、累計30万を超える「いいね」を獲得。2024年1月に初のエッセイ集『置かれた場所であばれたい』を出版。

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