でも、エッセイは、それこそ自分のなかにしか答えはないけど、小説だと、この人物だったらこう考えるだろうみたいなことで、たどりつけるところもあるかな。
潮井:最終的に「これ!」と決める時の決め手は?
せやま:感覚です。バチッとくるかどうか。
潮井:自分のなかでバチッと決まったところは、編集の方はどういう反応をなさってましたか。
せやま:そういうところは絶対にオーケーをもらえましたね。逆に、もやっとしたまま「これでいいか」みたいな感じで出すと、絶対に「ここはちょっと」と言われます。なんでバレたんだろう、みたいな(笑)。
* * *
「感じたことや考えたことは、誰にも奪えない」という潮井さんの言葉を受けて、「自分にしか書けないものがきっと一つはある」と語ったせやまさん。
書き始めたきっかけも、悩みもそれぞれだけれど、「自分にしか書けないもの」を探し続けたふたりが、お互いを尊重しあい、共鳴するかのような対談は、初対面を感じさせないあたたかな雰囲気があった。
書くということと真剣に向き合ってきたふたりの作品もまた、優しいあたたかさであふれている。