自分自身が感じたことや考えたことは、誰にも奪えない
──潮井さんは、『置かあば』をどんな人に読んでほしいですか。
潮井:私の場合は、人にはみんな、その人にしかわからない思いや、その人のなかにしかない真実みたいなものがあると思っているんです。たとえば『置かあば』にも入れましたが、私の名前の由来を書いたエピソードは、SNSで「嘘だ!」と言われたこともありました(笑)。
でも、書いて公表していないだけでみんな絶対にあると思うんです。ありのままに書いたら信じてもらえないような、ドラマチックなできごとが。そのなかで感じたことや考えたことは、誰にも奪えない。誰かにわかってもらえなくても構わないんです。自分だけのものだから。
自分はつまらない人間だとか、人に話せるようなことは何もないと思っている人もけっこういると感じるんですけど、全然そんなことないと私は思っています。そんな人に限って話を聞くととんでもなくおもしろかったりしますし。
私は10代に濃厚な思い出がたくさんあって、それを書いていることが多いですが、もっと年齢が上の方であればそのぶん人生経験もたくさんあると思うので。そうした方を含めこの本を読んで、「自分にもこういうことがあったな」と思い出してもらえたらうれしいです。