占い師、作家 しいたけ.
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 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

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Q:恋の相談です。私はいつも都合のいい女というか、相手に合わせてしまいます。友だちに相談すると、もっと自分本位で動かなきゃ、と言われますが、自分がわかりません。今気になっている人がいますが、相手はLINEもダラダラ会話を続けるタイプではないようなので、どうでもいい話ができません。本当はしたいんですが。どうしたら好きな人の本命になれますか?(女性/美容院の受け付け/24歳/おとめ座)

A:なんというか、恋愛にもやっぱり「流行」みたいなものがあるような気がします。それで言うと、いま必要とされやすい人って、性別に関係なく「ソロ活ができる人」なんじゃないかと思っているんです。

 例えば東京在住の人で、休みが取れた時に一人で京都とか大阪に行ってぶらぶら楽しめる人って、やっぱりちょっとかっこいいですよね。知らない土地に行って、なじみのお店を作ったり、飲み歩いたりできる人。もちろんその目的がインスタに載せるとかだとちょっと話が違ってくるんですが、純粋に楽しくて一人旅をしている人って、人目を気にしません。好きだからその街に行って、新しいお店や知り合いを、一人で開拓していく感じ。そういう人ってすごく輝いているし、ソロ活ができることは今の時代のモテの基本要素というか、わりと優先順位の高いところにある気がします。

 今の時代、常に自分が何者でいかに特別であるかを証明し続けなければいけない世の中になっています。他人から見られる量がものすごく多くて、一つの振る舞いや言動がすぐに炎上したりするから、関心を寄せられることにみんなが疲れてしまっていると思うんですよね。

 だからこそ、「人目を気にしない時間」が誰にとっても不可欠です。知らない街に行ったら、「旅の恥はかき捨て」で、普段自分がいる場所よりかは素の状態で、気を使わないで振る舞えたりします。

 今は京都は宿泊費も高いので、どこか違う地方でもいいかもしれませんが、自分の好きな街を見つけてそこに入り浸るというか、何度か通ってみてください。無意識のうちに、旅先のモードを自分のホームタウンに持ち帰ってくることができると思います。

 恋愛に限らず、いろんな人間関係で「自己解決」してしまう人は多いです。これをやると嫌われるからやめておく、と自己解決するのではなく、せめて一度は「本当はもっとどうでもいい話とかダラダラした会話もしたいんです」と相手に伝えてみてはいかがでしょうか。「でも僕はそういうのが苦手なんですよね」という返事がきたら、そこから二人の妥協案を考えていけばいいと思います。

 恋愛で相手に合わせすぎている状態って結構相手にバレているし、片方が接待モードだと相手も同じモードになってしまいます。「これぐらいならどうですか」と食いついてこじ開けた先に、宝物が埋まっていることって、意外と多いものですよ。

AERA 2024年7月29日号