雅さんと大誠さん(写真:雅さん提供)

 非情な現実に立ち向かう二人だが、その姿に悲壮感はなく、むしろ新婚の喜びに満ちあふれている。

「妻の優しさに日々癒やされるし、妻と食べるごはんは、一人で食べるごはんよりもびっくりするくらいおいしい。この子がいるだけで人生バラ色なんです」と、雅さんの肩にそっと手を置く大誠さん。雅さんは、「私も幸せですね。家族になった責任感すらいとおしい」と、にっこりほほえみ返した。

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表情と眼球しか動かない“元妻”と再婚

 最後に紹介する、妻の難病を機に再婚を果たした夫婦の姿からは、“男女の愛”という枠に収まりきらない結婚の奥深さが垣間見える。

 YouTubeチャンネル「M’s channel」で、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患うなつみさん(49)との日常を発信している翔さん(49)は、今年3月、LIVE配信でなつみさんとの結婚を報告した。

 二人はもともと夫婦として暮らしていたが、なつみさんの実家とのトラブルが原因で5年ほど前に離婚。しかし3年前、なつみさんは、神経障害によって筋肉が徐々に機能しなくなるALSの診断を受けた。実家との折り合いが悪かったなつみさんは元夫の翔さんを頼り、翔さんも「俺がいなかったらなつみは一人になっちゃう」と心配し、今後の介護を引き受けることにした。

 ALS患者の平均余命は、発症から3~5年と言われている。なつみさんの症状は、当初は足先の踏ん張りがきかずつまづきやすいといったものだったが、次第に車椅子が必要になり、寝たきりになり……と、筋肉の衰えは進んでいった。現在は表情と眼球しか動かせず、人工呼吸器をつけたことで声も出ない状態だ。体は動かなくても意識や思考ははっきりしているため、視線の動きで文字を入力できる「意思伝達装置」でコミュニケーションをとっている。

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「内縁の夫」ではダメな理由