南果歩さん(撮影/植田真紗美)

再婚して「良かったこと」

 シングルマザーとして子育てをしていた南さんは、ドラマ「異端の夏」で共演した渡辺謙氏と、2005年12月に再婚した。南さん41歳、息子は10歳だった。

「再婚して新しい家族を築く中、母として子どもと向き合う時間をより多く持てたことは良かったですね。シングルマザーだった頃はとにかく時間がなかったので。私にとってもそれまでの子育てを取り戻す貴重な時間でした」

 再婚後は家族3人でロサンゼルスに移住し、3年ほど暮らした。南さんが運転する車に息子を乗せ、毎朝小学校まで送り、その後、南さんは語学学校へ通うような生活だった。

「ロスにいても、家庭内では子どものために日本語を話していたので、私の英語力は日常会話ができるくらいですよ(笑)」

 だが、幸せな生活に暗雲が立ち込めたのは、17年3月のこと。週刊誌で渡辺氏と年下女性との不倫が報じられ大騒動となった。当時の心境を聞くと、南さんは、

「もうそれは過ぎたことなので……」

 と言葉少なだった。

 この騒動により、南さんは体調を崩してしまう。医師からは「重度うつ病」と診断されたという。22年に出版された南さんのエッセー『乙女オバさん』(小学館)では、主治医から「山のように出された薬」と記されていた。そのときは大量の薬を飲んで耐えたのだろうか。

「薬は飲んでいないんです。私がどうしてメンタルのことをエッセーに書こうと思ったのかというと、コロナ禍でメンタルを患っている方がたくさんいらっしゃると感じたからです。薬を使わなかった私のケースを一例として見ていただきたい。決して参考にしてほしいと思っているわけではなく、あくまでも一例として見て頂きたいんです。同じ病気でも千差万別、それぞれの症状があるわけですから。まずは自分にあった処方を主治医と相談しながら探すことが必要です」

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「初孫」を抱いた感触