そういえば6月に同じ長野出身の前座さん・桃月庵ぼんぼりさんにも別件の長野独演会におでまし願った。そのときもタクシーの中でこんな会話があったな。

一之輔「運転手さん、この右っ側はオリンピックの広場ですよね?」

運転手「そうですね、あのときはまー、景気良かったけど……今じゃまー、さっぱりですわね……」

 会話が終わってしまった。こんなときは郷土出身のぼんぼりの出番だ。

一之輔「やっぱりぼんぼりは長野五輪は夢中になって観てたの?」

ぼんぼり「……あー、観てないですね」

一之輔「興味ないことはないだろう?」

ぼんぼり「いや、まだ生まれてないもので……」

一之輔「え?……お前、いくつ?」

ぼんぼり「26です」

一之輔「まじか。あのオリンピックはそんなに前なのか。伊藤みどりが卑弥呼みたいなカッコして聖火つけたとき、君はまだ生まれてなかったの? AH! アフター・ヒミコ世代?」

ぼんぼり「ちょっとわかんないです。ちょうどあのとき母が臨月で、私はお腹の中にいたみたいで……ちょっと病院で大変だったらしくて『お前のせいでオリンピック観られんかった』って今でも母から文句言われます」

一之輔「お母さんも観たかったよな、そりゃ」

ぼんぼり「でも、あのときは凄く盛り上がったって話は昔からよく聞いてます」

一之輔「おとぎ話みたいだな、つい26年前なのに。俺はそのときちょうど20歳でインフルエンザでウンウン唸ってたんだよ。里谷多英のモーグルは布団の中から観たなぁ。ガクンガクン跳ねるから見ていて酔いそうになったな。里谷あの後、フジテレビ入ってな。いろいろ大変。インフル、治りかけで起き上がれるようになったらスキーのラージヒル団体だよ。岡部と斎藤と原田と船木な。

 ありゃー伝説だよな。ラストの船木の大逆転の大ジャンプで金メダルだよ。それくらいは知ってるだろ?」

ぼんぼり「はい。泣いて喜んだやつですよね、船木さんが『原田〜〜〜〜〜っ!!!(泣)』って」

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