AERA 2024年7月22日号より

 だからこそ、楽曲に関しても、それ以外の仕事も、自ら提案することも「全然ある」。2020年の本誌のインタビューで挙げていた「サイコパスを演じてみたい」という目標は、今年公開された映画「マッチング」で見事に叶え、高い評価を得たが、次に挑戦してみたいことは?

「いま、お芝居にすごく意欲的になっていて。正直、どんな役もチャレンジしてみたいんですよね。やっぱり、いろんな役をやるから楽しいし、刺激も受ける。でも、サイコパスもそうですけど、何かが欠けている人間を演じることには、ものすごく興味あります。自分も欠けてはいるし、どの人間にも欠落してる部分ってあると思うんですよ。自分以外のものを経験することを楽しみたい」

自分がうれしかったことはいろんな人に返したい

ダブルA面シングルのもう1曲は、渡辺翔太が主演するドラマ「青島くんはいじわる」(テレビ朝日系土曜23時~放送)の主題歌、「君は僕のもの」だ。

「この曲はもうシンプルにほんっとに歌詞がかわいいですね。俺、曲は歌詞で好きになることが多いので、自然と入ってきて、ついつい口ずさんじゃうんですよ。だから、渡辺がいい楽曲持ってきてくれたなって」

 自身の公式Xでも「翔太が持ってきた曲。私の好きな言葉です」と投稿しファンを沸かせた。

「俺が初めてタイアップで『縁 -YUAN-』って楽曲を持ってきたときに、みんなで聴いたあと、翔太がわざわざ来て、『お前、めちゃめちゃいい曲持ってきたな。ありがとな』って言ってくれたの。もう、3年ぐらい前? それがいまもずっとうれしくて。俺はそれから、誰々が持ってきてくれた楽曲がいい、って伝えるようにしてる。やっぱり、言われてうれしかったことは言いたいよね。返したい。いろんな人に。それに、俺のモットーとして、いいものはいいって言いたくて。それは大事にしてるかな」

生活だけでなく生き方も変えた猫との出会い

「君は僕のもの」には「いつもと同じはずの日を 君が変えてしまったよ」という歌詞が。そういう経験を問うと、しばし考えたのち、「……、かな」と答えた。22年の冬に迎えた2匹の保護猫、シャチとツナのことだ。

「猫ちゃんが来て、自分の気持ちに余裕ができた。2人がいるから、落ち着けている部分もある。家に1人でいるとやっぱり孤独を感じやすいし、1人で入り込みすぎると人間の思考って硬くなりすぎて厄介なんで。家に帰って安らぎがあるから、やわらかくいられるというか」

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