を迎える前年には「命に触れたい」と、レモンの木を育て始めた。同じ理由だろうか。

「俺の仕事って、ずっと賑やかなんですよ。メンバーとか、スタッフさんとか、常に誰かしらいる。だからなのかな、家で1人になると急にさみしさを感じるんです。たぶん、仕事が忙しくなるにつれて、より強く感じるようになっちゃった。それで、これじゃダメだな、俺が愛情を向けられる対象を作んなきゃいけないな、って思ったんです。

 俺、動物好きだから、最初、ワンちゃん、って考えたんですけど、1人で育てるって、放っておくことになるし、あまりにも自分勝手になっちゃうなと思って。だったら、ほかに命に触れるには草花だな、って。一時期は花屋さんで花を買ってたんですよ。でもどうしても命が短いから、もう少し長く一緒にいられるものがいい、ちゃんと俺が寄り添える何かが欲しいなと。レモンの木がすごい育てやすいって聞いたので、果実ができれば成果も見えるな、って」

 残念ながら果実は「まだなってなーい」と少々不満そうにしつつも、「けど、かわいいんですよ。水分がちょっとでも足りてないと葉がへにゃんってなって、水あげると、数時間後にふいって戻ってるんですよ。すごくわかりやすくてかわいい」と、満面の笑みを見せた。

「レモンの木を育てて、次に猫ちゃんお迎えして。ほんと、生活が違いますね。1日に何回、かわいい、大好きだよ、って言ってるかわかんない」

 猫と暮らしはじめたことで、猫と同じように、自分の軸で生きられるようになったとも言う。

「昔はマジで俺、めっちゃ犬っぽいと思ってたんです、実家で犬を飼ってたんで。でも最近、猫っぽいなって思うことが増えました。もっと気楽に生きていいんだな、って感じて。猫って、甘えたいときに甘えて、嫌なときは嫌だって言って、なんなんだよあいつら!みたいな(笑)。でも、それでいいんだよな、って。

 だから、この1年くらい、嫌なことは嫌だってちゃんと言うようになった。仕事も、なんでもやります、苦手なこともよくわかんないけどやります、って感じだったんだけど、ちゃんと自分で決断をするようになったというか。理由を考えるんですよ。ここが納得できないからやりたくないんだなとか、これは俺の領分じゃないから別にやらなくてもいいな、とか。自分では、いい変化だと思ってます。無理がないので。以前はなんとかして着地点を見つけていたものも、自分にどう影響を与えるかとか、自分にとって何が大事かとか、ちゃんと自分のブランディングを貫けるようになった」

(構成/編集部・伏見美雪)

※曲名「縁 -YUAN-」の「A」はアクサンテギュあり

AERA 2024年7月22日号より抜粋