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エリさんは30代。大学卒業後に薬剤師の資格を得て、関西地方の公的機関で働いていた。
カミングアウトしたら退職 「母娘」と偽っての暮らし
2人は14年に出会い、交際を始めた。「出会ってすぐに人生のパートナーになりたいと思った」とエリさんは言う。
だが、エリさんは職場で同性のパートナーがいることをカミングアウトしたことをきっかけに退職に追い込まれた。退職後は、薬剤師の資格を生かして、関西の薬局に契約職員として勤務したが、上司から正規職員になるよう誘われた際、薬局側に妻がいるため配偶者としての福利厚生を適用してほしいと求めると「準備が整っていないのでできない」と断られた。
19年4月、同性婚が認められていて、外国人の旅行者であっても結婚できるカナダを旅行で訪れ、結婚した。ささやかな人前結婚式だったが、通りがかった見ず知らずの人たちが、立ち止まって式の様子を見守り、祝福の言葉をかけてくれた。「2人の関係をオープンにする夢も叶った。うれしさで涙が止まらなかった」(ハナさん)
だが帰国すると、再び差別にさらされた。19年7月に居住市のパートナーシップ制度を利用し、証明書を取得。市内で「ふうふ」で暮らす家を借りようと思ったが、不動産業者からは「同性カップルが借りられる家は少ない」と言われ、「融通の利く大家さんだから」と紹介された家は、駅から遠く、老朽化で雨もりがした。ハナさんは言う。
「希望の条件で検索すると、数十件近く物件が出てくる。異性カップルなら新築の2LDKにも住めるのに。屈辱的だったし、パートナーシップ制度で得られるものは何もないことを痛感した」
UR都市機構にも親族として入居できないかと問い合わせたが「民法上の親族であることが入居条件。同性カップルは親族とはみなせない」と言われた。
「カナダでは法的に家族として暮らしていたので、日本で『家族じゃない』と言われることが耐えがたかった」(ハナさん)
その後、東海地方に移ったが、周囲の人からどういう関係かを聞かれると、その都度「母娘だ」と偽って暮らさざるをえなかったという。
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