2011年の日本シリーズで敗れ、ファンにあいさつする中日の落合監督(中央)と辻コーチ(左)ら(肩書は当時)

落合監督が手腕を評価した辻コーチ

 西武はOBを監督に据えてきた歴史がある。内部昇格で最有力候補とされるのが、西口文也2軍監督だ。西武一筋で現役通算182勝をマークし、引退後は球団編成部、1、2軍の投手コーチを歴任。22年から2軍監督を務めて今年が3年目になる。物腰が柔らかく、松井監督と同様に選手やコーチとのコミュニケーションを重視する。ただ、チームがどん底の状態で1軍の監督を託すのは「荷が重い」という声が聞かれる。同じく西武OBでソフトバンクの監督を務めた秋山幸二氏、工藤公康氏が候補に挙げられるが、就任の現実味は薄い。

 6月下旬に開催された西武ホールディングスの株主総会では、株主から「OBでなく勝てる監督を」という要望が出た。生え抜きにこだわらず、新しい風を吹き込むこともチームを立て直す上で一案だ。

 だが、現実的にどうだろうか。NPBの監督経験者でいえば、元DeNA監督のアレックス・ラミレス氏、元中日監督の落合博満氏、元ロッテ監督の井口資仁監督の評価が現場で高い。この中で一番インパクトが強い指揮官が落合氏だろう。

 中日の監督を務めた04~11年の8年間ですべてAクラス入りし、リーグ優勝を4度達成。日本シリーズには5度進出し、07年には球団として53年ぶり2度目の日本一に導いた。落合氏は11年限りで中日の監督を退団後も、他球団の監督で待望論が上がったが、実現していない。

 名古屋のテレビ関係者は「監督であれだけの実績を持つ人はなかなかいない。個人的には西武をどう再建するか興味がありますけど、今年で71歳を迎えるので、体力面を考えると、う―ん……。監督就任は考えづらいですね。西武もオファーはしないんじゃないですか」と否定的な見方を示す。

 その落合氏が中日の監督時代に、高く手腕を評価していたコーチがいた。中日の2軍監督や1軍総合コーチとして落合監督を支えた辻発彦氏。2年前まで西武を率いた前監督だ。

次のページ
辻監督の下でプレーした選手の声は…