カンカンダンスの曲は中国のアーティスト「半噸兄弟」によるものだ

135キロと110キロの巨漢

「原曲の曲名は『扛過槍 放過羊』(カングオチアン ファングオヤン)と言い、『銃を担いだし、羊を放牧したこともある』という意味になります。物騒な曲名ですが、歌詞は『恋愛は戦場で、失恋の痛みなど怖くはない。道に迷って身体中いくらでも傷だらけになったっていいじゃないか。男らしくいこう』みたいなことが書かれていて、恋の応援歌に近い内容となっています。歌っているのは半噸兄弟(バンドゥンションディー)という男性3人組で、グループ名の由来“半トン”は、結成当時メンバー2人の体重が135キロ、110キロという巨漢だったことから。彼らはSNSや路上ライブで徐々にファンを獲得し、人気アーティストとなりました。その名が全国区となったきっかけは、2019年に中国国営放送・CCTVの音楽オーディション番組に出演し、週間&月間チャンピオンに輝いたことです」

「扛過槍 放過羊」がリリースされた後、すぐに中国の人気DJ・偉然(ウェイラン)が、同曲のダンスリミックスバージョンを発表。これが大ヒットを決定づけた。21年頃に、宴会などでダンスパフォーマンスを行う中国の中年おじさんグループ「80後逐夢男団」(80年代生まれの夢追う男たち)が、レストランの開店イベントで同曲を使ったダンスパフォーマンスの模様を中国版TikTokに投稿。彼らが考案した振り付けが拡散し、カンカンダンスの発祥となったと見られている。

「『80後逐夢男団』が最初に投稿したカンカンダンスの動画はこれまでに4億以上の再生回数を記録しています。その後、中国のSNSで拡散していき、若者を中心に徐々に話題を集めていったのですが、各地の『広場ダンス』で採用されていったことも大きいでしょう。中国では、公園や広場などで健康体操の一環として中高年の女性たちが音楽に合わせて集団でダンスをする『広場ダンス』が有名です。そこでこの曲と振り付けが定番となっていき、幅広い年代で知られるようになっていったのです。曲もダンスもはっきり言ってダサいのですが、中国の若者からは『ダサいけど一周回ってかっこよく思えてくる』という感想も多く、12年に世界的に流行した韓国アーティスト・PSYの『江南スタイル』みたいだ、というコメントもありました」(広瀬氏)

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「日本人に理解される日が来るなんて」