鈴木エイトさん(すずき・えいと)/滋賀県出身。日本脱カルト協会理事。「やや日刊カルト新聞」主筆。著書に『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』など(撮影/写真映像部・上田泰世)
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 安倍晋三元首相が襲撃されてから2年。この事件をきっかけに何が変わり、どのような課題が残されているのか。そして裁判前の懸念とは。鈴木エイトさんに聞いた。AERA 2024年7月15日号より。

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 この2年間で、高額献金や政治家との関係など、旧統一教会の悪質性が明らかになりました。教団側は教会改革推進本部の立ち上げなど「変化」を印象付ける一方で、声を上げた元信者への中傷や弁護団、地方自治体などへのスラップ訴訟を乱発しています。教団にとっては、今の体制をいかに継続するかに苦心した2年だったと思います。

 事件をきっかけに、旧統一教会の問題を社会が再認識し、是正する方向に進んだ点は良かったことだと思います。被害者救済法(不当寄付勧誘防止法)も成立し、社会も関心を持ち続けてきました。ただ、今年は都知事選もあり、関心が薄れてしまうのではと懸念しています。解散命令が確定しても、被害者への弁済まで結びつかない可能性もあり、新たな法整備も必要でしょう。

 政治家との関係についても、本来追及すべき大物がいたのに、山本朋広・元防衛副大臣のように「反応が面白い人」ばかり取り上げていた。逃げ切ったと感じている政治家もいるのではないでしょうか。

 山上徹也被告の公判時期は未定ですが、接見した弁護士から被告の発言の一部が明かされ、発言の意図が不明確なまま報じられています。この点に関しては危うさを感じています。争点整理が進められており、弁護方針も固まっていない中で、裁判員に予断を与える可能性があるからです。

 今後、もし仮に山上被告と接見できたとしても、その内容については裁判が始まるまで話すつもりはありません。事件前に山上被告とメッセージのやり取りをした者の責務として、事件をしっかり見届けたいと思っています。(編集部・福井しほ)

AERA 2024年7月15日号

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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