20年の総裁選に出馬した(左から)石破氏、菅氏、岸田氏。菅氏が圧勝した

河野氏は「おもしろい小説だ」

 石破氏同様、世論調査の「首相候補」の常連で、前回総裁選にも出馬した河野太郎デジタル相は厳しい状況だ。

 6月26日に派閥の領袖である麻生太郎副総裁と会食し、総裁選出馬の意向を伝えたと報じられた。だが、翌日、河野氏はその報道について、
「どの河野さん? おもしろい小説だと思う」
 と否定。総裁選出馬の意欲はあるものの、前回総裁選で支持を受けた菅氏や派閥の支援が受けられる確約がなく、出馬を明言できない状況のようだ。

 このほか、二階派の若手、小林鷹之・前経済安全保障担当相を推す声もある。小林氏は7月1日発売の月刊誌「正論」に掲載された対談で、首相を目指すのかと問われ、
「目指します。いずれはその役を担えるよう、精進していきたい」
 と意欲を見せていた。

首相批判展開する菅氏

 総裁候補たちがうごめくなか、俄然注目されているのが、菅前首相だ。

 石破氏や、菅政権時代の官房長官で、やはり総裁候補と目される加藤勝信氏(茂木派)らと会食を重ねる。前回の総裁選では、現職首相だった菅氏に対抗して岸田氏が党改革を訴えて出馬表明し、菅氏はコロナ対応への批判もあって出馬断念に追い込まれた。そこから非主流派に追いやられてきた恨みもあるのか、いまやポスト岸田の「キングメーカー」としての動きが活発だ。

 菅氏は6月23日に配信された文藝春秋のオンライン番組でインタビューに応じ、
「総理自身が派閥の問題を抱えているのに、責任を取っていなかった。その責任に触れずに今日まで来ている」
 などと岸田首相批判を展開。総裁選については、
「どなたを応援するかはまったく決めていません」
 と言いながら、
「石破さんは期待できる経験豊富なリーダー」
「加藤さんは穴のない働きぶりで、どんな仕事も安心して任せられる」
 などとポスト岸田の「候補」たちを褒めあげた。

 冒頭の自民党中堅クラスの衆院議員はこう話す。

「菅氏は、安倍政権で長く官房長官を務めていたころには、ライバルとなりかねない石破氏と距離を置いていた。今、石破氏や加藤氏と会食をするなどの動きは、岸田首相を引きずりおろして、キングメーカーの座を虎視眈々と狙っているのでしょう」

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