カミラ王妃の額の上で輝くのは、エリザベス女王が結婚祝いでミャンマー(旧ビルマ)から贈られた96個のルビーとインドの王族から贈られたダイヤモンドで作られた「バーミーズ・ルビー・ティアラ」だ。ルビーとダイヤでチューダー・ローズの意匠が表現されている=2024年6月25日、バッキンガム宮殿

 英国王室の紋章である、赤に白の花弁が重なる「チューダー・ローズ」の薔薇の意匠が、ルビーとダイヤモンドで表現されている。

 英王室と英国民にとって、宝飾品への愛情は日本とは比較にならないほど深いと、多賀さんは指摘する。

「王室はもちろん、貴族もそれぞれ名称のついたティアラやネックレスなどの宝飾品を所有しており、誰が所有し、どのような歴史的な由来をもつものなのか、といった点が重要視されます」

 そして英王室のメンバーがどの場面で、どのティアラやネックレス、ブローチといった宝飾品を身に着けるかが国民の関心事となっている。

 カミラ王妃が今回の晩餐会で白いドレスとルビーの宝冠を選んだのは、日本の国旗をイメージしたもので、招待国への敬意だろうと見られているという。
 

最高峰のピンクダイヤは雅子さまへの敬意

 晩餐会に先立つ歓迎式典でも、天皇陛下雅子さまへの敬意と歓迎の姿勢がうかがえた。

 式典では、君が代と童謡の「さくらさくら」が演奏され、チャールズ国王は天皇陛下と、カミラ王妃は雅子さまと同じ馬車に乗り込み、バッキンガム宮殿へ出発した。

 大通り「ザ・マル」をパレードする馬車で、チャールズ国王と天皇陛下が顔を寄せて親しく話をする様子は、心温まる光景だった。

 カミラ王妃はこの歓迎行事でも、特別な宝飾品を身に着けていた。

 エリザベス女王は膨大な数のブローチをコレクションしていたが、カミラ王妃もさまざまなブローチを身に着けて、メッセージを伝えることで知られている。

「この歓迎式典でカミラ王妃が身に着けたのが、世界的に有名なウィリアムソンのピンク・ダイヤモンドのブローチです」

 と、多賀さんは話す。
 

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5枚の花弁にダイヤが輝くピンクダイヤのブローチ