ドラフト1位、楽天が交渉権獲得が決まり、花束を贈られた笑顔の安楽智大=2014年10月23日

 森井球団社長は記者会見の際に、25年以降の再契約の可能性について、「今ここでゼロという発言はできないけど、再契約の意志があるとは思ってほしくない。彼がどうやって社会復帰していくか見守っていきたい」と発言している。

 前出の楽天OBは「復帰は考えにくいでしょう」と否定的な見方を示す。

「若返りを図っている中、チームの空気も変わってきている。パワハラの被害を受けたチームメートがいるわけだし、安楽が戻ってくることに抵抗を感じる選手やスタッフがいるでしょう。ファンやスポンサーの理解を得られるとも思えません」

 他球団はどうだろうか。救援陣の層が手薄な球団は少なくない。NPBで実績がある安楽は即戦力として計算できる。

 だが、セ・リーグの編成担当は「ウチはないですね」と獲得の意思がないことを示した。

「安楽に対してセカンドチャンスを与えるべきという見方もあると思います。その意見を否定するつもりはないですが、純粋に戦力として楽天でのパフォーマンスを見て判断すると、投球内容が安定しているわけではない。メキシコで登板している映像を見ていないので現在の状況を把握していませんが、獲得は検討していません」

メジャーを目指したほうが可能性

 スポーツ紙デスクは、「安楽は日本球界復帰より、メジャーの舞台を目指したほうが実現の可能性が高いかもしれません」と指摘する。

「チームメートへのパワハラ報道は大きな波紋を呼びました。NPBでリスクを冒してでも獲得する球団が現れることは考えづらい。それならメキシカンリーグで好成績を残し、メジャー球団との契約を勝ち取る方がイメージを描きやすい。もちろん、簡単な道ではありません。メジャー傘下の球団からはい上がることになる。ただ、今までもマイナー契約からスタートしてメジャーで活躍した選手達がいます。まだ若いですし、さらに上を目指してほしいですね」

 メキシカンリーグでの戦いは続く。リスタートした野球人生の先にどんな未来が待っているだろうか。今はチームの勝利に貢献するため、遠い地で右腕を振り続ける。

(今川秀悟)

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