糸原は阪神が日本一に輝いた昨シーズンは出場試合数を減らしたものの、チームには欠かせない存在だった。岡田彰布監督もムードメーカーとして糸原の役割を評価している。今季もレギュラーではないが、“アレンパ”へ向けてグラウンド内外での働きが期待されている。

 また、過去を振り返っても強いチームにはムードメーカーが必ずいた。

「かつての中日・岩本好広は星野仙一監督(当時)の用心棒とまで言われていた。闘志溢れるプレーが信条で乱闘の際には真っ先に現場に駆けつけたほど」(在京テレビ局スポーツ担当者)

「ガンちゃん」の呼び名で愛された岩本は、阪急でプレーした時代も含め通算393試合出場で82安打と決して目立った成績を残したわけではない。しかしチームを盛り上げるために体を張り続けることで信頼を勝ち取っていた。

 近年では2000年代以降、パ・リーグで圧倒的な強さを誇っているソフトバンクにもチームを盛り上げ続けた選手がいたのも忘れてはいけない。

「ムネ(川崎宗則)は実力と明るさの両方でチームを牽引した。頼りになる遊撃手は裏表のない性格で誰からも愛された。ムネを超える存在はもう現れないだろう」(ソフトバンク関係者)

 川崎は2004年に最多安打を記録するなど攻守に優れた名内野手。通算1376安打、ベストナイン2度、ゴールデングラブ賞2度とグラウンドでの結果も素晴らしかったが、ムードメーカーとしても常勝軍団に欠かせない選手だった。メジャー挑戦時も“ブロークン”ながら英語でコミュニケーションをとり、チームメイトやファンから愛された。

「多くの監督は実力が同じレベルなら元気がある選手を選ぶはず。野球は“流れ”が重要な競技なのでベンチ内の雰囲気が大事。ムードメーカーとしての役割を年俸査定に組み込む球団も多い」(在京球団編成担当者)

 かつて巨人で活躍した中畑清氏は、試合で使って欲しいがため、調子を聞かれた際に「絶好調です」と答えるようにしていたのは有名。元気や明るさが重要なのは時代が変わっても同じだ。

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大低迷・西武に必要なのも“ムードメーカー”?