

インターネットを通じて学ぶ“ネットスクール”のサービスが進化している。大学の授業を無料で広く公開するとの目的で始まった「gacco(ガッコ)」の講義内容がビジネス分野にも広がり、実践的な学びができるようになった。また、ベンチャー企業による「schoo WEB-campus(スクーウェブキャンパス)」は生中継をうりに人気を集める。
gaccoのように大学が授業を無料公開するのは、世界的な流れにある。2012年ごろから米国ハーバード大学やマサチューセッツ工科大といった世界的に著名な大学が「コーセラ(Coursera)」や「エデックス(edX)」といった米の著名な配信プラットフォーム(基盤)を使って授業を公開。誰でも無料で受講できるようにした。
こうした動きは「MOOC(ムーク=Massive Open Online Course)」と呼ばれている。グローバル化を目指す大学にとっては、MOOCは貧困国を含めた世界中の国から優秀な学生を獲得するうえで効果的だ。日本の東京大学や京都大学も英語で授業を公開している。
一方、MOOCの大半は英語による発信であるため、日本語による配信プラットフォームを生み出そうとの動きが国内で加速した。東大や京大のほか、早稲田、慶応、放送大学など全国20大学と民間企業が発足させたJMOOC(ジェイムーク=日本オープンオンライン教育推進協議会)が主導し、JMOOKの会員で通信インフラ事業者であるNTTドコモと共同で2014年4月に開始したのがgaccoだった。
●学びの機会提供と学生確保を目指し授業配信
gaccoでは、インターネット環境さえ確保できれば、時間や場所にとらわれることなくいつでも受講ができるため、ビジネスパーソンにも適している。学び直しのニーズに応えるとともに、金銭的な都合で進学や学びをあきらめた若年層に教育の機会を提供したいとの思いもある。少子高齢化を迎えるなかで、大学にとってはgaccoでの受講を機に社会人を含めた学生確保につなげたい考えだ。