そこでこのような場合、歯ぐきの形を変えてプラークがたまりにくいようにしていくのですが、このとき、ラバーチップという先端がゴムでできた器具で歯ぐきをぐいぐいと押すのです。原始的な方法ですが、これを繰り返すと棚がなくなり、歯ぐきが平らになります。

 歯ぐきの退縮を改善する方法としてすぐにできるのは、硬い歯ブラシを、「ふつう」に変えて、「やさしくみがくこと」です。

 力の入れ具合がわかりにくいので、ブラッシング指導を受けていただくことをすすめています。最近は高機能の電動歯ブラシがあり、さまざまな機能の中に、力を入れすぎると、ランプがつく機能がついているものもあります。こうした製品を紹介することもあります。

「やさしくみがくこと」を続けていると歯根の付近から少しずつ歯ぐきが再生してきます。

 ただし、前述のように、歯ぐきはもともと退縮しやすい性質があるので、早い時期のものはともかく、歯の根元まで歯ぐきが下がっている場合、完全に元通りにするのは困難です。

 このような理由で、「歯ぐきを元通りに近づけたい」という場合は、「歯ぐきの移植」をすすめることになります。

 移殖のやり方ですが、退縮した部分の歯ぐきをメスで開いておき、ここに上あごから短冊状に取ってきた歯ぐき(主に上の奥歯の口蓋<こうがい>から取る)を埋め込んで、縫合します。

 歯ぐきの表面ごと取ったものを移植する「遊離歯肉組織移植術」と、表面の上皮はそのままにして中にある結合組織だけ取って移植する「結合組織移植術」の二通りがあります。

 患者さんの状況により、どちらの治療法を選ぶかが変わってきますが、一般的には、結合組織移植術のほうがうまく組織が定着しやすいとされています(患者さんによっては、移殖した歯ぐきがなかなか生着しないこともあります)。

 歯みがきの際の力の入れ具合は弱すぎても、強すぎてもだめで、加減が難しいものです。また、ていねいにやっているように見えてもみがけているのは歯の表面だけで、歯ぐきにはプラークがべたべたとついていることもあります。

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自己流のブラッシングはダメ