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 あんな出来事があった、こんな話題があった…と記事で振り返る「あのとき」。2022年の6月ごろに、多く読まれていた記事を紹介します(この記事は2022年6月20日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。

【チェックリスト】その症状、歯周病?

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「むし歯や歯周病には絶対になりたくない」と、頑張って一日に何度も歯みがきを励行している人はいるでしょう。しかし、中には「歯みがきを強くやりすぎて、歯ぐきが下がったようだ」と悩む声を聞きます。こうしたことは本当にあるのでしょうか? なぜこのようなことが起こるのでしょうか? もとに戻す方法はあるのでしょうか? 若林健史歯科医師に聞きました。
 

 歯みがきを強くやりすぎると、歯ぐきが下がるというのは本当です。

 歯ぐきにはたくさんの毛細血管が通っており、歯ぐきや歯に栄養を補給しています。

 硬い歯ブラシの毛先でぐいぐいと歯ぐきを押し続けると、毛細血管がつぶれて血流が悪化し、歯ぐきがいわゆる「貧血状態」となります。歯ぐきの色がピンクではなく、白っぽくなるのですぐわかります。

 この状態が続くと、歯ぐきが再生のタイミングを失い、次第に失われていきます。いわゆる歯ぐきが下がる、やせた状態になり、歯の根元が見えるようになってしまうのです。

 歯の根元は薄く、象牙質に近いので、冷たいものがしみるなど知覚過敏も起こりやすくなってきます。

※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 歯みがきが面倒な人からすれば信じられないかもしれませんが、このような患者さんは、意外に多いのです。ただし、強くみがけば誰でもなるというわけではなく、「歯ぐきが薄く、歯槽骨(しそうこつ、歯を支える骨)が薄い人」に起こりやすいことがわかっています(歯ぐきが厚く、歯槽骨も厚い人は、かなり強くブラッシングをしても大丈夫だったりします)。

 実は歯ぐきはもともと退縮しやすく、この性質を治療に応用することもあります。

 歯ぐきの形にはいくつかのタイプがあり、その中の一つに「棚状の歯ぐき」というものがあります。歯ぐきの上部が盛り上がり、文字通り、棚のような形をしているのですが、このような歯ぐきは歯と歯の間にプラーク(歯垢<しこう>)がたまりやすく、むし歯や歯周病の治療をしても再発を繰り返しやすいのです。

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若林健史

若林健史

若林健史(わかばやし・けんじ)。歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演。AERAdot.の連載をまとめた著書『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか?聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中。

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