「事実関係が間違っているかもしれないし、法的に、倫理的に問題があるかもしれない。とくに、いまこの記事を出すことは倫理的に認められるか否かを判断できるのはやはり人間。そこはまだ生成AIが乗り越えられるものではないでしょう」

 生成AIの出す答えは、人間が必ずチェックする。生活者の視点からメディアの課題を考える「博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所」の上級研究員・冨永直基さんも「その役割はますます問われてくる」と話す。

「ただ、人だけでやるのではなく、『そこに生成AIの助けを加える』発想もできると思います。その記者が経験で培ったノウハウや知識、倫理観をもってチェックしようというときに、『自分のパーソナルなアシスタント』として生成AIの能力が役立ち得ると、私は考えています」

 ある記者が過去に取材してきた記事には、自分の知識や考え方が反映されている。ただ、記事を書いたりチェックしたりする過程で、昔の記事を参考にしたくてもすぐには思い出せない場合もあるだろう。

「そんなときに自分の記事データを生成AIに読み込ませておけば簡単に探せて、『あの取材であんなことがあったな』と記事に補完できたり、チェックの判断に使えたりすると思います」

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2024年6月24日号より抜粋

暮らしとモノ班 for promotion
大谷翔平選手の好感度の高さに企業もメロメロ!どんな企業と契約している?