生成AIを使えば画像も自在につくれる。上の画像は、マイクロソフトが公開している画像生成AI「Bing Image Creator」を使って、プロンプト(指示)に「生成AIを使って記事を編集するウェブメディアの編集者」と打ち込んで、生成されたもの
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 生成AIを導入し、業務を効率化する動きがメディアの現場でも広がっている。記事の編集のほかにも使い道はさまざま。もはや欠かせない存在になりつつあるAIの活用法とは。AERA 2024年6月24日号より。

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「IT業界で報じるべき内容は非常に広く、拾いきれないものも出てくる。限られた人数の中でより効率的に報道・編集業務を行うために、生成AIは使う余地があると考えています」

 こう話すのはITやネットの最新情報を幅広く扱うニュースサイト「ITmedia NEWS」編集長の井上輝一さん。生成AIを使う場面はさまざまだ。ある程度定型化できる速報記事などの記事作成や取材音声の文字起こし、論文など読むのに時間がかかる資料の要約、さらには英語など外国語情報の和訳など多岐に及ぶ。

 たとえば、あるスタートアップ企業が某企業から資金を調達したという速報記事を作成したい場合、手順はこうだ。

 まず報道資料を生成AIに読み込ませる。その上で「〇〇氏が創業したスタートアップ企業『○○』(〇〇県〇〇市)は〇月〇日、〇〇などから〇〇円の資金を調達したと発表した」というように、ある程度の文章のひな型を準備し「報道資料から〇の部分を穴埋めして」と生成AIにプロンプト(指示)を出す。そうすると効率よく記事が完成する。こうやって作成した記事には末尾に「本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します」と明記する。

炎上リスクもチェック

「生成AIに代替できる業務を効率化し、その分、深掘り記事を増やし、守備範囲を拡大させる。それがメリットです。最終的には編集部の判断ですが『生成AIに記事を査読させることで炎上リスクのチェック』もある程度は可能ですし、企画のアイデア出しの『壁打ち相手』にも。『AIアシスタント』として編集部を支える存在になり得ていると思います」

 井上さんは生成AIへのメディア側の姿勢について、「AIを使わなくてもやっていける」といった「現状を変えない選択」が最も良くない、と指摘する。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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