AIで画像も生成

「歴史を振り返っても、技術革新についていかずに存続できたメディアはないのでは。さまざまなテクノロジーの中でも生成AIはメディア領域においても適用方法がかなり想像しやすい。それをある種の正常性バイアスで使わないのは、単に機会損失だと考えます」

 メディアの現場で欠かせない存在になりつつある生成AI。ジャーナリストの古田大輔さんも「生成AIという言葉が出てくる前から、日々の仕事に使っています」と話す。

「文字起こしや資料の読み込み、今では記事の構成を生成AIに相談することも可能です。ただ、生成AIが出してくる回答って結局『平均点』で面白くはない。逆に生成AIと同じ構成にしないために、生成AIを使うんです」

「論理的な文章を考えるのが得意」という生成AIの特性も、記事の執筆に生かせるという。

「文章AとBを書いて、両方を生成AIに要約させる。うまく要約できた方が論理構成がしっかりしている。そんな検証に使う人もいます」

AI以上の人工知能

 最近では文字、音声、動画など複数の異なる情報源から情報を収集し、統合して処理するAI「マルチモーダル」も注目されている。また人間と同等もしくはそれ以上の知能水準を持つAGI(汎用人工知能)の実現も視野に入ってきている。

「『生成AIで何ができる?』と問われれば、『あなたのアイデア次第で何にでも使えます』が答えになると思います。たとえば今年のピュリツァー賞では最終選考に残った45件のうち5件が、受賞したうちの2件がAIを使用していました。世界最高峰の報道でも、AIを使うことが一般的になっているんです」

 現状の生成AIには技術的な課題もある。事実に基づかない虚偽の情報を生成してしまう「ハルシネーション」という現象だ。古田さんはChatGPTを「めちゃくちゃ優秀で働き者で、絶対に弱音も吐かず、夜中でも一瞬で答えを返してくれる、最高におっちょこちょいな助手」と呼ぶ。「こんな役立つものはないというくらい役に立つ」と言う一方で「どんな答えを返してきても、必ず自分でチェックします」と話す。

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