清水氏は、首都直下型地震を強く意識しているという。
「備えあれば憂いなしなのに、現状では備えが全くと言っていいほどできていない。東京で直下型地震が起きたとき、東京の街がどうなるかというのは予測ができるわけです。東京というのは耐震化、不燃化とかいいながらまだ何もしていない建物も多い」
もし都知事になったら、具体的にはどのような防災に取り組むのだろうか。
「近隣の県や市町村ともっと連携してはどうかと思う。東京の郊外でもちょっと出たら自然がいっぱいでいい場所がある。そういう地域に避難所やキャンプ場を造る」
トイレも風呂もプライバシーもある
避難所といっても、よくある体育館のような施設ではないという。
「東京の周辺地域にトレーラーハウスを20万戸設置したいです。災害が起きたとき、被災地にとどまるのではなく、郊外のトレーラーハウスへ一斉に行けば、安全で快適に過ごせます。トイレも風呂もプライバシーもある。建物の基礎もいらないし、地面に置いておくだけ。大型車でトレーラーハウスを引っ張って移動することができる」
自身が力を入れてきた災害関連以外で、もう一つ、注力してきたアウトドアから発想を得たという。
「平時は自然豊かな場所で、魚釣り、山登り、バーベキューができる。そうした場所を提供しておけば、平時から自然と災害に耐えうる力がついていくわけです。都の予算で造っておいて、県や市町村などの自治体にも収益が落ちるような形にしておけば、東京の疎開先がいっぱいできるわけですよ。1泊2500円くらいで泊まれるように設定したいですね」
日常で楽しめるトレーラーハウスを平時は「楽しみ」として運用し、災害発生時には避難場所につなげるという考えだ。ただ、 トレーラーハウスは1台500万円くらいかかるというが、予算は大丈夫だろうか。
「20万台ですから1兆円くらいかかるんです。だけど、東京都の予算は19兆円もあるんだから可能なんですよ。いっぺんに全部準備しなくても、毎年少しずつ増やしていけばいいんです。こうしたトレーラーハウスの災害時の利活用は私が全国初で提唱したんですが、今になって内閣も検討するようになりました」