選定医療費7700円を徴収

「蚊に刺されてかゆい」「海水浴に行って、日焼けした足がヒリヒリする」「紙で指先を切った。血は止まっているが……」「ヘルパーを呼んだが来てくれなかったので、代わりに救急車を呼んだ」「病院で長く待つのが面倒なので、救急車を呼んだ」

 出動件数の増加に伴い、現場到着時間や病院収容までにかかる時間も延びている。みだりに救急車を呼べば、救急車出動による費用増だけではなく、重症者への対応の遅れも懸念される。

 今年6月1日、三重県松阪市内の救急医療を担う3基幹病院は、“救急車有料化”に踏み切った。救急搬送されたが入院に至らなかった場合、保険適用外の「選定療養費」として、1件につき7700円(税込み)を徴収する。

医師の9割が「有料化すべき」

 こうした動きを、医師たちはどう捉えているのか。医師専用サイト「MedPeer(メドピア)」が会員医師2500人に対して行ったアンケートでは、「一律に有料化すべき」が42.5%、「入院や緊急処置など例外(主に重症)を除き有料化すべき」が47.5%で、有料化に賛成する医師が計90%に上った。「有料化すべきではない」と答えた医師は6.3%にとどまった。

「コンビニ受診や寂しさ紛れ受診、タクシー代わり受診が多すぎる」(勤務医、漢方医学など、60代、男性)「いわゆるリピーターもいる」(勤務医、リハビリテーション科など、勤務医、30代、男性)など、不適切利用を体感している医師は多いようだ。

「一律に有料化すべき」の中には、「松阪市のように条件付きの徴収では問題の解決にならない」「払わない方には救急が断ってOKでもいい」という厳しい声もあった。

「有料化すべきではない」という中には、費用発生によるトラブルを懸念する声(勤務医、神経内科、60代、男性)、「有料であることで躊躇し、亡くなることはあってはならない」(勤務医、神経内科、20代、女性)という声があった。

 また、「救急車を有料化とするならどれくらいの金額が適正と思うか」という設問に、最も多かった答えは「9001円以上」で、次いで「3001〜5000円」、「5001〜7000円」の順だった。

 医療費も医師らのマンパワーも無尽蔵ではない。緊急性のある要請を制限するのではなく、不適切な利用を減らすことが、人の命を守ることにもつながる。

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