来年還暦を迎える洞口依子さん(2024年5月)

子宮を失ってから「妊婦」を演じる

 1カ月間の療養をへて闘病を公表。以来、芸能活動を続けつつ、ブログや新聞のコラム連載にもチャレンジするなど、女優とは違う形の表現活動をスタートさせた。しばらくの間は、バランスを崩した体と心と向き合う日々が続いた。

 復帰のきっかけとなったのは沖縄での療養生活で再会した、當間早志監督の「探偵事務所5” Another Story マクガフィン」(2006年)という映画。林海象監督・永瀬正敏主演で90年代にブームとなった「私立探偵 濱マイク」シリーズの制作チームが手がけた探偵ドラマシリーズだ。洞口にとっては、監督が当て書き(前もって演じる役者を想定して書くこと)してくれたという特別な作品だった。

「洞口さんは當間監督に準備稿を見せてもらったときのことを、子宮を失った自分が妊婦・出産するというストーリーに自身のうちに何か新しいもが生まれそうな息吹を感じたそうで、改めて女優業に本格復帰する意欲を感じたと自著『子宮会議』で書かれていました。実生活で子宮を失った洞口さんですが、『出産』『誕生』が大きなテーマとなる映画の中で妊婦を演じたことは、彼女のその後の活動の在り方にも大きな影響を与えたようです」(映画ライター)

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