診察以外にも、医師の業務は多岐にわたる。書類仕事も非常に多い(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 2024年4月から「医師の働き方改革」が始まり、原則、時間外・休日の労働時間は年間960時間に制限された。それから2カ月が経過したが、医療現場で何が起こっているのか。AERA 2024年6月17日号から。

【アンケート結果】10年以上先、医師は「余る」? 676人の医師のホンネがこちら

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AERA 2024年6月17日号「医師676人のリアル」特集より

「期待」はたった17%、「隠れたブラック化が進む」の声も

 医師の働き方改革の背景には、常態化した過重労働がある。22年には、神戸市の26歳医師の自殺もあった。

 AERAは5月、医師向け情報サイト「MedPeer(メドピア)」の協力を得て、医師676人に働き方改革についてアンケートを行った。「期待している」と答えた医師は、たった17%だった。

「うわべだけで結局何も変わらない」(整形外科・スポーツ医学、40代、男性)

「かえって業務が行いにくくなった」(精神科、30代、男性)

「引き継ぎなどでミスが起きうる」(一般内科、50代、男性)

「体裁繕いのみで実質的改善は望めない。隠れたブラック化が進む」(勤務医、一般外科、60代、男性)とは、すべての職場に起こりうる問題だろう。

日中の医師が足りない

 東京都の立川相互病院も、医師の時間外・休日労働が年間960時間を超えないように、対応を始めた。当直明けの翌日昼には帰ることを徹底して、休日も増やせた。だが、救急診療部の山田秀樹副院長は言う。

「予想外のことが起きました。日中に医師が足りないのです」

 労働時間管理を徹底した結果、平日の病院に医師が少なくなった。病院には常勤医師・研修医が約100人いる。それでも、人繰りがつかず、診療に影響が及ぶこともある。

「みんなで穴埋めをしています。問題は医師の長時間労働だけではありません。医師の仕事を減らすために、タスクシフトしたくても、経営的に人材確保も難しい。そもそもの医師数が少ない。国は少子化を理由に医学部定員を減らそうとしていますが、逆に医師の絶対数を増やし、診療報酬を上げない限り、必要な医療を提供することも根本的な処遇改善も期待できません」(山田副院長)

職場は「時間外労働減らせ」と言うだけ

「労働時間はほとんど変わらない」という医師も少なくない。大学病院の麻酔科の40代女性医師は、職場で「時間外労働を減らすように」と言われたが、職場は何ら対策を取ろうとしない。

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勤務開始時刻に患者は手術室へ