AERA 2024年6月17日号「医師676人のリアル」特集より

 午後5時以降の会議を避けるようにした。看護師からの検査依頼などは、夕方ギリギリではなく、前もって連絡するようになった。すると夕方以降の仕事は減った。だが、時間外労働の一番の原因は当直だ。救急搬送される患者の数を読むことはできない。多いときは一晩に患者が10人も来て、2人の当直医が寝る間もなく対応し、疲労困憊していた。

 そこで昨年4月から、午後10時から午前7時までの深夜帯の救急患者の受け入れを、原則、かかりつけ患者に限った。8カ月で、深夜帯の救急患者は6割減。5月下旬の平日の時間外受け入れ患者は2人。外科系の医師は「よく眠れるようになった」という。

 受け入れ制限は苦渋の選択だった。だが辻晋吾院長は言う。

「一般に深夜帯の救急で多いのは泥酔やけんかによる負傷ですが、当院は繁華街から離れているので、そうした患者は少ない。また大阪市のデータによると、午前0時から午前7時までは救急搬送は少ない。近隣の病院の状況を考慮し、深夜帯の救急受け入れを制限しました。医師には日中の診察や手術に注力してもらいたい」

AERA 2024年6月17日号「医師676人のリアル」特集より

常勤の救急医を採用

 昼間の救急受け入れ態勢を強化するため、常勤の救急医2人を迎え入れた。それまでは救急外来を内科系、外科系の医師が持ち回りで担当、医師は朝から“本業”の科で診察、入院病棟、手術、事務作業などフルで働いた後、夕方から救急当直、翌朝は自分の科の仕事をしていた。救急医らの増員により、医師1人あたりの救急外来当直は、月2、3回から月1、2回になった。働く環境は改善したという。(編集部・井上有紀子)

AERA 2024年6月17日号より抜粋

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