生還した大山をベンチで迎える岡田監督

自ら2軍での調整を直訴

 岡田彰布監督は大山に大きな信頼を置いている。ただ、打撃で改善の兆しが見られないまま時間が過ぎることで決断を下した。

 6月1日のロッテ戦で4番から外し、7番でスタメン起用。翌2日には6番で起用したが、2試合とも無安打に終わる。ここまで打率.199、3本塁打、19打点。自信を失った大山が自らファームでの調整を直訴し、5日に登録抹消された。

 交流戦で苦しんでいたチームは、6月7日から本拠地・甲子園西武に同一カード3連勝を飾り、復調の兆しを見せている。大山不在の打線は1、2番に中野拓夢、前川右京を据え、4番に本来はリードオフマンの近本光司を配置転換して「打線のつながり」を重視した並びとなっている。ただ、この形は本来の阪神の姿ではない。4番・大山が完全復活してこそ、リーグ連覇が現実味を帯びる。

 大山の動向は各球団の編成部も注視していた。昨オフの契約更改では1億5000万円増の推定年俸2億8000万円でサイン。球団から複数年契約を提示されたが、単年契約を選択したことが報じられた。今年のシーズン中に国内FA権を取得予定だったことが背景にあり、「FA権を行使する可能性があるのでは」と他球団が色めきだった。

 右の和製大砲は、球界全体を見渡しても希少価値がある。20年に自己最多の28本塁打をマークして岡本とタイトル争いを繰り広げるなど、18年から6年連続2ケタ本塁打と長距離砲として活躍。大谷翔平ドジャース)、鈴木誠也(カブス)と同学年の29歳で、これから選手として脂が乗る時期を迎える。

開幕前は「FAでの争奪戦は必至」の声

 開幕前、セ・リーグ球団の編成担当は高評価を口にしていた。

「広い甲子園が本拠地でなければ、30本塁打をクリアできる。勝負強い打撃で追い込まれても簡単に凡打せず、しぶとくヒットゾーンに飛ばせる技術も魅力的です。守れるポジションも一塁、三塁、外野と幅広く、謙虚な性格でチームに良い影響をもたらす。今オフにFA権を行使したら複数球団の争奪戦は必至でしょう」

 一塁のレギュラーが固定できていない広島、西武、楽天だけでなく、大山が内外野守れることを考えると、攻撃力を上げるために獲得を検討する球団が出てくる可能性は十分にあった。

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他球団の編成担当の評価が変わった