だが、今年のパフォーマンスで、「FA争奪戦」の行方に暗雲が立ち込めてきた。

 前出のセ・リーグ球団編成担当は、「獲得に動く説得力が下がってしまっているのは事実です」と言う。

 ただし、「4番を打つ選手なので打撃が存在価値を示す指標になる。でもまだシーズン中です。ここから巻き返す可能性は十分ありますしね。良い打者である評価は変わらないですよ」とも強調する。

 一方、パ・リーグ球団の首脳陣は、「ウチは獲得に動かないと思いますよ。年俸を考えると慎重になる。人的補償も発生しますし。大山もFA権の行使を考えていないんじゃないですかね。結果を残すことが大前提になりますから。今はシーズンに集中していると思います」と指摘する。

FA権を行使せず残留か?

 阪神を取材するスポーツ紙記者も同調する。

「今年は自分自身の成績に当然納得していないでしょうし、FA権を取得しても行使せずに減俸で残留する可能性が高い。昨オフに球団が提示した複数年契約を断ったのでFAでの去就を騒がれていますが、阪神に不満があるわけではありません。志の高いチームメートたちと日本一を達成できた充実感は強いですし、居心地がいいでしょう。新しい刺激を求めて他球団でチャレンジする性格ではない感じもします」

 FAに対して大山がどのような決断を下すか。シーズンでの活躍が、自身の決断に大きく影響することは間違いない。万全のコンディションで1軍に復帰して、打棒が爆発すればリーグ連覇に近づく。チームの勝利に貢献するため、輝きを取り戻せるか。阪神ファンは完全復活の日を心待ちにしている。

(今川秀悟)

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