歌舞伎町移転25周年記念企画のひとつとして開催された、石野卓球とケラ率いる有頂天のツーマンライブが開催、盟友による奇跡のコラボも実現(写真:MAYUMI)
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 スターリン、BOOWY、ザ・ブルーハーツ……。歴史に残るバンドが出演し、大きな舞台へと旅立っていった新宿のライブハウスが移転25周年を迎えた。AERA 2024年6月17日号より。

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 日本を代表するライブハウス、新宿ロフト。かつては新宿駅を挟んだ西側、小滝橋通りに存在したことを覚えている人も多くいるのではないだろうか。

 そして1999年4月、新宿ロフトは現在の場所である新宿歌舞伎町ド真ん中に移転オープンする。土地が競売にかけられての立ち退きというかたちだ。当時は新宿コマ劇場があり、現在はゴジラの巨大オブジェで有名な新宿東宝ビルのすぐそば。

新宿ど真ん中で格安

「当時の歌舞伎町は、治安も評判もとにかく悪かったですよ(笑)」

 と、ロフトの創業者で会長、創業から新宿ロフトオープン当時を振り返った著書『1976年の新宿ロフト』(星海社新書)がある平野悠さんは、当時の歌舞伎町の街の空気を語る。

「そんななかで、今の場所の大家が、当時ビルの中に入っていたぼったくりバーと警察とのやりとりで頭を抱えている、全部追い出すからまるごと借りてくれないかと。そんな理由だから家賃も相場よりかなり安かったです。みんな怖がって近寄れないような場所にあるというのも、ロックらしくて面白いんじゃないかとの思いもありました。なにより新宿のど真ん中に格安で出せるっていうんだから(笑)」

 雑居ビルの階段を下る。周囲の煌びやかな色合いとは異なる空間、それが新宿ロフトだ。ライブステージを繰り広げるライブハウスと小さめのステージが設置されたバーラウンジ、二つのスペースが隣り合うかたちで構成されている。

「ライブの興奮・余韻をね、ライブが終わったあとにもお酒を飲んだりしながらコミュニケーションする場が欲しかったんです。バーラウンジにもステージがあるから、二つの空間で同時に演奏できて、日によっては行き来だってできる」

 25年前の日本の音楽界はといえば、いわゆるバンドブームもとうに落ち着いた時代である。オリコンの年間売り上げ上位には宇多田ヒカル、浜崎あゆみ、globe、モーニング娘。などが名を連ねた時代。ロックバンドの世界はというと、

「メロコアブームを経て、いわゆる“青春パンク”が流行(はや)り始めたころですね」

 とロフトプロジェクト音楽部統括部長の大塚智昭さんは語る。

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