
「CDと同じように演奏しろとかつまんない時代が一時期あったんですよ。だけど僕が思うには、ライブってその名の通り生きているもの。何が起こるかわからないのがライブ、ライブハウスの魅力だと思うんですよ」
昨年12月に自身のステージ歴10周年のライブを新宿ロフトで開催したソロアイドル・ゆらぴこさんはこう語る。
「楽屋に貼られたパスに書かれたいろいろな歴代出演者の名前を見るたび、自分はすごい場所に立たせてもらってるんだなって、ここでライブをやらせてもらううれしさを噛み締めます」
新宿ロフトでは、移転25周年を記念したライブイベントが4月から連日開催されている。これまでも前出のニューロティカをはじめ、石野卓球、有頂天、中村一義、川本真琴、曽我部恵一といった豪華な顔ぶれが。6月以降も、真心ブラザーズ、清春、神聖かまってちゃん、竹原ピストルといった面々が25周年を彩る。ラインアップに連なる名前がそのままロフトの歴史を物語る。大塚さんは言う。
「今はもうなかなか出てもらえないような人でも、ふたつ返事で出てもらえたりしています。長くやってきたかいがあったなと思います」
ライブ界牽引する場所
石原慎太郎元都知事による歌舞伎町浄化作戦、昨年には東急歌舞伎町タワーも完成、歌舞伎町タワーには大型ライブハウスZepp Shinjukuも開業、25年の間に街並みも人の流れも変わった。平野さんは感慨深げに言う。
「子連れで遅い時間に歩いたりできるような街になりましたからね(笑)。このあたりにもいくつも人気のライブハウスができて、ライブ界を引っ張るエリアになりました。ライブハウスのオープン前の時間にね、うちも含めてそれぞれの前に人が並んでるのを見て、すごいな、これみんなうちも含めてライブに来てる人なんだよな!って感じるんですよね、あの怖かった街がね(笑)」
今日もまた、ロフトの熱い空気が歌舞伎町で待っている。(ライター・太田サトル)
※AERA 2024年6月17日号