ロングインタビューに応じた松岡充さん(撮影/写真映像部・和仁貢介、hairhair & make up 柴田桃子、早川葵)
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 1995年にメジャーデビューするや、「街」や「黒いブーツ 〜oh my friend〜」などのヒットを飛ばし、わずか2年で単独日本武道館公演を果たしたロックバンド、SOPHIA。2013年8月、活動を休止したが、22年10月11日の日本武道館ライブで9年の時を経て活動を再開した。

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「やりたい」と言ってくれた

松岡充 僕は元々メンバーを尊重するタイプで、それぞれの正義や価値観を重んじてきました。だから(活動休止から)9年間は待ったんですが、10年は「待てない」と思ったんです。ファンを待たせすぎだから、10年経つ前にバンドをやめるのか再開するかはっきりさせたかった。だから、復活ライブとして日本武道館公演を掲げたんです。

 僕が伝えたのは、「やるかやらないかはっきり決めよう」ということ。メンバー一人ひとりと話して、「やりたい」か「やりたくない」かどちらかだけで、「やってもいいけど」だったら「やらない」と言いました。全員が「やりたい」と言ってくれたので、活動再開が決まりました。僕が9年間求めていた答えでした。

ここでやらないでいつやるんだ

──そこから1年後、10年ぶりの新曲としてリリースされた「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」は、これからのSOPHIAの「フラッグ」になる曲だという。

松岡 休止していた9年のうちの2年半はコロナ禍で、音楽も演劇も、作品を一緒に創ってきた人たちの世界がトーンダウンしていくのを見てきました。仕事が飛んで、「食っていけないからやめようと思います」という連絡がたくさんきて…皆「コロナ禍が明けたら」って言う。僕は現実を見ながら、「明けるかどうかもわからないのに、明けなかったらこの国からエンタメはなくなるのか」と悶々としていました。

 僕は「世の中が落ち込んでいる時こそエンタメが救う」という考え方で、「ここでやらないでいつやるんだ?」とずっと思っていたし、何が原因かと考えて、いや、コロナじゃないな、と思ったんです。

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