──昨年10月、99年から始めたライブシリーズ「獅子に翼」を終了させた。これも信念ゆえだ。

松岡 歌詞にもよく書いていますが、「あの時はよかったね」と過去を懐かしむのは個人的にダサいと思っています。過去は二度と戻ってこないし、過去を考える暇があるのなら、今を考えるべきだと思う。同時に未来を不安に思うのもダサい。来てもいない未来を恐れるのだったら、今を何とかするべきです。過去の偉業としてSOPHIAの歴史に刻まれた大規模ライブシリーズ「獅子に翼」があることに縛られてしまうのが嫌で、卒業して新しいところに踏み出すべきだと考えました。SOPHIAは9年間「活動休止」という言葉に寄りかかった状態でしたが、これが「解散」だったらそうはいかなかったと思います。

その時間が必要だった

──休止前と再開後で変わったことはあるのだろうか。

松岡 僕のメンバーへの向き合い方が一番変わった気がします。

 活動休止前はメンバーを尊重しているつもりでも、「僕が支えなければいけない」という変な責任感がありました。キーボードの都啓一が(当時は悪性の)リンパ腫のステージ4を宣告され、もう5人では活動できないと思ったこともありました。「やめたい」と言ったメンバーもいました。そういう出来事を経て、「自分が支えなければいけない」という気持ちが強くなったのかもしれません。

 僕にとって休止の9 年間は長く、イライラしていた時間もあったのは事実ですが、今はその時間が必要だったと思っています。その時間があったからこそ、自分の生涯もしっかりと考えられるようになったたし、自然と「あなたたちはあなたたち。あなたたちの人生を、僕はどうにもできないよ」とも自然と言えるようになった。

 よりメンバーの人生を尊重できるようになったと思います。

(構成・ライター・小松香里)

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