インタビューに応じる松岡充さん。舞台『Change the World』( http://askcoltd.com/ctw-stage/ )は2024年6月8日(土)〜16日(日)東京・サンシャイン劇場にて。原作・脚本:秦建日子 「Change the World」(河出書房新社刊)  演出:橋本昭博  出演:松岡 充/辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)/剛力彩芽ほか テーマソング:SOPHIA「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」(TOY'S FACTORY)(撮影 写真映像部・和仁貢介 hair & make up 柴田桃子 早川葵)

困難に対応できるのが人間の素晴らしさ

 仕事がないなら取りに行く、取れないなら自分で作る、金がないなら違うところで作る――。困難にひとつひとつ対応できるのが人間の素晴らしさだし、それを「頑張れ」って背中を押すことがエンタメだから、業界の人たちにメッセージを書きたくなった。初めにこの世界を志した時は、誰かの力になりたいとか、仮面ライダーになりたいとか、すごく純真だった想いが、いつの間にか元々のエネルギーの原型がなくなっていくのを感じることが多かった数年間でした。

 だから、「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」というタイトルになったんです。

――曲には、バンドへの願いも込められている。

松岡 一昨年の10月に活動再開して、休止前に「やろう」と言っていたけど結局できていなかった、ずっと続けていたライブシリーズ「獅子に翼」もできましたし、地元の大阪での凱旋公演も、MTVのアンプラグドもできました。加えて、アンプラグドライブで演奏した曲を中心にしたプラグドのライブも、MTVに開催してもらった。

 メンバーには満足感があったと思います。ただ、何が一番大切かというと「この先どうするか」。バンド活動は曲が命なので、これからの活動のフラッグとして僕が創ったのが、「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」です。一番強く込められているのは、メンバーに対して「忘れかけたものがあるなら取り戻してほしい」という願いです。

スタート地点を思い出してほしい

──SOPHIAは7月から、1995年デビュー時に行った全国ツアーと同等のキャパの会場で、チケット代も当時と同じ3090円という異例のツアーを行う。

松岡 SOPHIAの今後を考えて、29年前、まだ一部のバンド好きにしか興味を持たれていなかった頃に行った全国ツアーを再現しようと思いました。提案すると、スタッフには「何千万円もの赤字になる」「採算がとれない」と言われました。30年前と比べてどれだけ物価が上がったのかは知らないけれど、「29年前はできていたのなら自腹を切ってでもやろう」と言って説得し、開催が決まりました。

 そういうSOPHIAをファンが好きだなと思ってくれたらうれしいし、一番はメンバーに自分たちのスタート地点を思い出してほしい。数百人のうちの一人ひとりに届けるため、汗だくなのに涼しい顔をしてライブをやっていた頃のことを、メンバーにもですが、自分自身にもわからせたかったんです。

 5人が無理に足並みを揃える必要はないけれど、ステージを目指す人が無数にいるなかで、輝くステージに立てるという、ファンが集まってくれることがどれだけ恵まれていることなのか。メンバー全員が50代になり、人生の折り返しを過ぎてSOPHIAを続けるのなら、自分が心から笑える場所にしてほしい。「やらなきゃいけない」ではなく、「俺はここにいたら楽しい」と思ってもらうために必要だと思って企画したツアーです。

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