週刊朝日 2023年4月14日号より
週刊朝日 2023年4月14日号より

 京大は近年、東大と比べて全国から受験生を集める傾向が続いていたが、今年は“地元志向”が高まったといえる。例年より“地元率”が下がった東大とは対照的な結果となった。

 ここ数年の動きでみれば、コロナ禍の影響で、全国的に地元志向が高まっている。また家庭の経済状況の問題から、地方の優秀な生徒は東大や京大ではなく、地元国公立大の医学部医学科に進学するケースも出ている。

 こうした動向に対し、東大と京大は危機感を抱いているという。井沢さんが話す。「コロナ禍の前から、東大と京大は地方からも生徒を集めるべく、広報活動に積極的に力を入れるようになっています。医学部以外にも優秀な生徒を広く集められないと、大学全体のレベルの維持に関わるという危機意識があるようです」

 とくに東大ではその効果が表れ始めたようだ。

「今年はコロナ禍が落ち着いたこともあり、その一定の成果が表れた形となりました。来年以降、この動きが続くのかどうか注目といえます」(井沢さん)

 地方の生徒が東京など都市部に出てきやすい機運は着実に高まりつつある。ただ、東大や京大に親元から離れて進学しやすくなるには、経済状況も上向く必要がある。実際、08年のリーマン・ショック後には、地方の優秀な受験生が地元国公立大医学部などに流れたことがあった。その点、昨今のウクライナ戦争による世界的な物価高の影響も気になるところだ。

 5月8日からは新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」になる。大学などでも通常授業に本格的に移行するところが多い。今年の春合格を勝ち取った受験生には、充実したキャンパスライフを楽しんでほしい。(河嶌太郎)

週刊朝日  2023年4月14日号

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