東京大学の安田講堂
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 いよいよ春本番。苦しい受験勉強を乗り越えて、見事合格を勝ち取った新入生たちには華々しいキャンパスライフが待っている。最難関の東大・京大に合格した人たちの出身地を分析すると、ポストコロナの動向が浮かんできた。

【図】ひと目でわかる! 東大・京大 都道府県別合格者数はこちら

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 2023年度の国公立大入試が終わり、東大・京大をはじめとする合格者の様相が出そろった。新型コロナウイルスの影響も落ち着きを取り戻しつつあるが、入試結果にどんな影響を与えたのか。

 東大合格者は東京の1019人を筆頭に、関東地方の集中が目立つ。今年の合格者3085人のうち、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県だけで1631人と、実に半分強を占める。ただ、これでも東京と神奈川は前年比で1割ほど合格者を減らしている。

 その背景について、大学通信で情報調査・編集部部長を務める井沢秀さんがこう説明する。

「東京は今年、開成と筑波大附駒場が大きく合格者数を減らし、こうした影響から112人減りました。その代わり、地方からの合格者を伸ばした形になっています」

 地方別でみると、東大・京大ともに新潟、富山、石川といった北陸勢の躍進が目立つ。なかでも富山中部(富山)は25人、金沢泉丘(石川)は23人の東大合格者を出した。北海道や愛知、京都・大阪・兵庫といった都市圏も合格者を伸ばす傾向がみられた。全体でみても、東大は47都道府県のうち26の道府県で合格者を増やした。

 井沢さんが解説する。

「コロナ禍の影響が世の中的に薄まったことで、地方からの東大・京大の志願者の数が増えているものと思われます」

■“地元志向”に危機感高まる

 ただし、一律に地方からの合格者数が増えているわけではなく、東大・京大へのアクセスも影響しているという。北陸の場合、北陸新幹線や特急で東京や京都に行くことが容易だ。東海道新幹線がある愛知も同様だ。

 ただ、京大は28府県で合格者を減らす結果となった。前年より大きく増やしたのは、地元の京都をはじめ、兵庫や和歌山など近畿地区が目立つ。

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