「高橋が石川から見習うべき点は多い」
ヤクルトは先発陣のコマ不足が長年の課題だった。高橋は登板機会に恵まれていたと言えるだろう。ただ、今年は新外国人投手・ヤフーレ、吉村貢司郎、小澤怜史が安定した投球を続けており、右肘の違和感で出遅れていたエース・小川泰弘も4月下旬に1軍のマウンドに戻ってきた。最下位に低迷しているが、先発陣は昨年より防御率が改善しており、なかなか結果を出せない高橋は序列が下がっているのが現実だ。
スポーツ紙デスクは、「高津監督の期待が大きい投手ですが、いつまでもチャンスを与えられるわけではない。27歳という年齢を考えると、もう期待の若手という立ち位置ではないですから。このまま結果を出せないようだと、トレード要員になる可能性があります。能力は高いだけにもったいないですけどね」と指摘する。
高橋は「石川雅規の後継者」として、将来を嘱望されていた。ヤクルト一筋の左腕・石川は、球界最年長の44歳。多彩な変化球と抜群の制球力で打者を打ち取る術を知っていて、通算185勝を誇る。今季は3試合登板で未勝利だが、防御率2.77と投球内容は決して悪くない。
高橋は力強い直球を武器に打者をねじ伏せるため、同じ左腕でも石川と投球スタイルが違うが、ヤクルトを取材する記者は「テンポの良さ、捕手のリードの意図を読み取って投げる洞察力など、高橋が石川から見習うべき点は多いと思います」と話し、こう続ける。
「石川は普段は穏やかで選手の人望が厚い人格者ですが、マウンドに上がるとカッカするんですよ。誰よりも負けず嫌いで勝利への執着心が凄い。だからあの年まで第一線でプレーしているんでしょうね。ああいう姿を見ると、野手はなんとか勝たせたいと思うでしょう。高橋ももっとガツガツしていいと思いますよ。フォームで試行錯誤している迷いが感じられますが、小さくまとまらずに荒れ球で抑えてやるぐらいの気概を見せてほしい」
高橋は交流戦できっかけをつかめるか。信頼を取り戻すためには、パフォーマンスで証明するしかない。
(今川秀悟)