「NISAは社会インフラ。制度改悪はありえない」(撮影/高野楓菜)

 制度実現への関門である自民党税制調査会を通過したのは、越智さんが内閣府副大臣だった2016年秋のことだった。

 ところで、本誌はこのインタビューに先立って新NISAについてアンケート(*)を実施し、2019人から回答を得ている。

「新NISAに関する疑問」を記述式の自由回答で設けたところ、国に対する質問も寄せられた。その中で目立ったのは、「海外株式の投信ばかり売れて、国はそれでいいのか?」といった内容。

 越智さんは「日本人の持つ資産のほとんどは円建てです。『長期・つみたて・分散』のうち、分散という意味で海外に投資することに違和感はありません」と言う。

 資産所得倍増プランが岸田文雄内閣の新しい資本主義実行計画の目玉として盛り込まれたのは2022年6月のこと。ロシアがウクライナに侵攻し、円安が進んでいた時期だ。

「政策担当者と円安の可能性について議論しました。外国企業にお金が流れる動きが加速したら『なぜ日本は強くならないんだ』という圧力が増すはずだ、と。円安は日本株ならびに日本企業を鍛えるチャンスです」

日本株限定への変更は無い

 ネット上では、日本からお金が逃げるキャピタルフライト(資本逃避)を新NISAが助長することが心配されている。

 政府が新NISAの投資対象を日本株に限定するとのフェイクニュースも流れたが、「日本株しか買えないルールにするつもりは最初からありませんでした。これからもありません」と言い切る。

「日本市場は国際金融市場を目指しているんです。その日本が、日本株限定などと言うはずがないでしょう」

 NISAの最大のメリットは運用益が非課税になることだ。投資家にはうれしいが、政府が貴重な財源を手放すということは、何か裏があるのではないか?

「預金として眠っていたお金が投資に回るわけですよね。預金利息から約20%が源泉徴収され、税収になりますが、ご存じの超低金利。実額としては多くありません。

その程度の税収が消えたところで、財政への打撃は限られています。

一方、預金が投資に回ると……。日本株の話からいくと、企業にお金が入って企業が儲かれば、法人税が増えます。投資したお金が増えれば、将来的には個人消費も増えます。

投信などを通じて外国株に回ったお金も、一生、外国に行きっぱなしではありません。

国は長期目線で考えています。財務省も思い切ったと思いますが、最終的には首相官邸の判断でした」

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NISA制度改悪の可能性は