また、共和党が伝統的に強いとされるテキサス州では21年に、フロリダ州で23年にアンチESG(環境・社会・企業統治)法を制定していることも気になります。この州法は、州の年金基金や他の資産運用機関が化石燃料に敵対的と見なしている企業やファンドに投資することを、差別的として禁じるものです。同時に、テキサス州では22年に、ESGを過度に重視して化石燃料企業を排除している投資会社のブラックリストを作成しました。
これにより、世界で最も運用金額が多いとされるブラックロック社は、テキサス州からの資産運用依頼が減っては困るとばかりに、ESG投資へのスタンスをトーンダウンしています。実際、この動きから海外メディアでは問題ばかりのESG投資ブームに警鐘を鳴らしたり、ESGに代わる新しい社会に優しい投資スタンスを作るべきという報道をしたりもしています。トランプ氏が大統領になった場合、脱炭素ブーム、ESG投資ブームに大きな影響が起こるかもしれません。
ちなみに、脱炭素に積極的とされる欧州諸国でも脱ロシアがうまくいかず、脱炭素への優先順位を下げる可能性も起こりつつあります。「もしトラ」は、世界に大きな影響を与えそうです。