ロングインタビューに応じた声優・島﨑信長さん。さまざまな人気キャラクターを演じてきた(撮影/加藤夏子)
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「呪術廻戦」の真人、「バキ」の範馬刃牙、「Free!」の七瀬遙、「俺物語!!」の砂川誠、そして、話題の『ブルーロック』の凪 誠士郎など、さまざまな人気キャラクターを演じる声優、島﨑信長さん。キャラクターたちにどう息を吹き込んでいるのか。

【写真】島﨑さんが演じる凪誠士郎と、貴重なインタビューショットの数々

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魅力的すぎるキャラクターをどう演じるか

島﨑 『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』は、凪をサッカーの道に誘う玲王との出会いに始まり、ちょっとしたすれ違いや成長といった、ふたりの関係性に焦点を当てて描かれています。約90分の劇場作品にするには原作のどこまでを描くかという着地点が必要ですが、映画として良いところに着地している脚本だなと思いました。

──凪は「めんどくさい」が口癖、日々を無気力に生きる高校2年生。一見クールと思いきや、サッカーにのめりこむにつれて、その“天才”を覚醒させていく。

島﨑 凪は強いキャラクターです。シンボリックで魅力的な記号が多い。普段はちょっと無気力でクール、でもサッカーをやったら天才的。かと思ったら、ゲーム好きで働きたくないという、現代人の共感ポイントもある。見た目も神秘的でかっこよく、かわいさもあり、フィジカルもしっかりしている。もう、魅力的なキャラクターとして完成しているんですよ。

 実はこういう強さは怖いところで、記号を並べるだけでも成立してしまうから、そこに甘えたら、役者として腐ってしまいかねない。わかりやすい言葉に振り回されないようにしようと思いました。

島﨑さんが演じる、『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-」の主人公、凪 誠士郎。4月19日に公開され、5月15日時点で興行収入15億を超え、観客動員数100万人を突破している ©金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会

──「凪」という人間を、島﨑さんはこう分析する。

島﨑 凪はクールかと思いきや、意外と喋るし、コミュニケーションをちゃんと取る。パスをする協調性もあります。サッカーに興味を持ってからは、エゴむき出しの熱い人間になるけれど、同時に面倒くさがり屋でもある。凪を一色に染めるのではなくて、そういう人間的なおもしろさを、多面的に表現したかった。

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