AERA 2024年5月27日号より

 これまで結婚のチャンスがなかったわけでもなく、あえて「独身を選んだ」つもりはない。ただ就職氷河期を経験したことで「結婚なんて、とても」という思い込みが尾を引いているかもしれない、と思う。そんな男性がいま気になるのが、子どもを持つ親を揶揄する「子持ち様」という言葉だ。「正直、納得してしまうところも」と話す。

「『どうして私があなたの子どものために』という気持ちになってしまうのは、学費無償化や子育て支援などのニュースを見た独身者や子どものいない既婚者に多いのではないでしょうか。そこが不公平感につながってしまうなら、結婚や出産の機会がさらに遠のいてしまうようにも思えます」

50歳時未婚率の増加

 もし自分が結婚するときに選択的夫婦別姓が導入されていたら使いたかった──。東京都に住む教員の女性(48)はそう話す。女性は28歳のときに結婚した。

「そんなもんかなと深く考えずに結婚したし、夫の姓にしたのも同様です。以前ある資格取得の申請で大学院卒業時の姓といまの姓が違うので同一人物であることを証明するために戸籍抄本を提出しろと言われ、本当に面倒な思いをしました」

 近年、日本における未婚率は高まる傾向にあり、国立社会保障・人口問題研究所の統計によると2020年の50歳時未婚率は男性28.25%、女性17.81%。一方で22年の内閣府の調査によると、結婚して姓を変えるのは女性が圧倒的に多く全体の約95%を占める中、「積極的に結婚したいと思わない理由」として「名字・姓が変わるのが嫌・面倒だから」を選んだ独身女性の割合は20代から30代で25.6%、40代から60代の35.3%を占めた。

 世界で唯一、結婚した夫婦は「どちらかの姓」を名乗ることが義務付けられている日本。婚姻時に夫婦が同姓か別姓かを選べる「選択的夫婦別姓」の導入を求める声も強いが、遅々として進んでいない。

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