金近 廉(かねちか・れん)/2003年生まれ。大阪府出身。身長196センチ。23年に日本代表デビュー。同年、東海大を2年で中退し、千葉ジェッツに加入。3ポイントシュートを得意とする(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 AERAの連載「2024パリへの道」では、今夏開催されるパリ五輪・パラリンピックでの活躍が期待される各競技のアスリートが登場。これまでの競技人生や、パリ大会へ向けた思いを語ります。

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 東海大学を中退してのプロ入りは、今やBリーグを代表するスター選手となった1学年上の河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)と同じ足跡。見本となったのかと聞くと、少し黙り、答えた。

「いや、あまり影響はなかったですね。ただシンプルに僕がプロに行きたかった。在学時に代表に選ばれたという経験は大きくて、少しでも早く、もっと上の環境でできる選択肢を取ったというだけです」

 シューターとして鮮烈な代表デビューの実績をひっさげ、鳴り物入りでBリーグの舞台へ。昨年8月から開催されたFIBAバスケットボールワールドカップ2023(W杯)でのロスター(登録選手)入りも視野に入っていたが、本大会行きはかなわなかった。

「W杯前の合宿も含め、しっかり準備して臨んだ結果うまくいかなかった。まだまだ実力が足りなかったという一言なんですが……それまでにもっとできることはあったと思うし、チャンスをつかみきれない自分に対しての不満や後悔が大きかった。チャンスをつかみとれる選手にならないといけないと強く感じました」

 今年のパリ五輪への出場権を争う予選も兼ねたW杯本大会で、日本代表は欧州勢を初めて撃破するなど快進撃を見せ、48年ぶりの自力での五輪出場をつかみ取った。渡邊雄太や富樫勇樹、河村といったスーパースターが、世界の強豪と真っ向からぶつかり躍動したこの大会を悔しさをかみしめながら見ていた。代表選手と自分は何が違うのか。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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