10万円を超える金額は「ぼったくり」
会員業者には駆除内容と金額を協会に報告する義務があり、行政もそれを監査する。
「10万円を超える金額は明らかに『ぼったくり』です。もし仮に、協会にそのような業者がいた場合は排除します」
ヨシダ消毒の場合、電話で相談を受けた際、状況の詳細を聞いて、見積額を伝える。
「現場を見た後に金額が変わることはまれです。家屋の内部に巣がかかっていて壁の一部を撤去せざるを得なかったり、巣が聞いていた状況よりもずっと高い位置にあったりする場合などだけです」
「ここがヘンだよ」テレビ番組
スズメバチの駆除に、危険で大変なイメージを持っていないだろうか。バラエティー番組で「スズメバチが飛んできました、危ない!」「ディレクターが刺されました」など、緊迫のシーンを見たことがある人も多いだろう。
ところが、清水さんによると、「ここがヘン」なのだという。
「まともな業者であれば、スズメバチを暴れさせるようなことはしません。我々が駆除する際は、スズメバチ一匹巣から出すことなく、あっという間に作業を終えますから、『えっ、もう全部取っちゃったんですか』と言われる。テレビの『絵』にはならないんです(笑)」
ネット広告で「コールセンター」へ誘導
ネットで暗躍するスズメバチの駆除業者について、「実態のない会社ばかりです」と、清水さんは指摘する。ネット広告の業者の電話番号にかけると、コールセンターにつながることが多い。
「これが、いわゆる元締め業者。さまざまな害虫駆除だけでなく、『鍵をなくした』『トイレの水漏れを直してほしい』など、緊急性のある仕事の依頼を受け付けている。そこがかなりの金額を中抜きしたうえで、実際の業者に発注しているようです」
清水さんの元にも、そうしたコールセンターから依頼の電話がかかってくることがあるという。
「もちろん、すべて断ります」
元締めのコールセンターから仕事を受ける業者は、所在地も不明だったりする「得体のしれない」事業者が多いという。
「スズメバチの巣を見つけたら、対策をスマホで検索する人は多い。でも、巣に気がつくのは昼間ですよね。であれば、行政機関の窓口も開いていますから、まずは行政に相談してほしい。それだけで悪徳業者にだまされずにすみます」
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)