
スズメバチのホバリングに注意
庭仕事の際、葉に覆われた巣に気がつかずに刺激して、刺されてしまう――。スズメバチ被害の典型例だ。スズメバチは巣の周囲、半径3~5メートルほどに「防衛ライン」をしく。
「そこで侵入者を見つけた1、2匹の働きバチは、空中に静止する『ホバリング』をしています。これは、『こっちに来ないでね』という警告です」
つまり、ホバリングしているスズメバチを見かけたら、それ以上近寄らないことだ。林業関係者などの間では常識で、事故になることはめったにない。
「普通の人はスズメバチの警告に気づかず、その先に進んでしまう。その瞬間、働きバチは『攻撃フェロモン』を侵入者に吹きつけるのです」
侵入者に「攻撃せよ」としるしをつける行動だ。巣から一斉に飛び立った働きバチはフェロモンのついた人間を追いかけ、毒針で攻撃する。100カ所近く刺されて亡くなった例も少なくない。

巣に近づきさえしなければ…
だが、巣に近づきさえしなければ、スズメバチが人を襲うことはないという。
「スズメバチ(働きバチ)を手のひらにのせて見せることがありますが、まったく刺しません。吸血する蚊やダニと違い、スズメバチが人を刺す理由は普段はありませんから」
また、夏が近づくころには、「庭に飛んでいるスズメバチを駆除してほしい」という依頼も増えるという。
「スズメバチは花の蜜も好きで、アレチウリやヤブガラシといったつる性の植物が花を咲かせると、群れでやってくる。蜜を採りに来ているなら、その草を抜くか、根元から切ること。そうすれば、もう飛んでこないはずです」
スズメバチは社会性のある昆虫で、それぞれが役割に忠実に生きている。
「生態を知れば、むやみに恐れる必要はありません」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)
※「トックリバチ」という呼称について、説明を補足しました。